日本式ABM施策の実践 ~狙い撃ちテレマーケティング~

テレマーケティング
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BtoBの究極型としてグローバルで注目されているABM。日本の方にとっては”それって普通でしょ”と捉えられている方も多いのでは?
実は日本文化と相性が良いABM。コロナによるパンデミックで働き方やビジネススタイルがグローバルで平準化しつつある昨今、古き良き時代の日本型コミュニケーションに注目が集まっています。

ABMとは

ABMはaccount-based marketingの略で、市場=企業としてマーケティングすること。

従来の考え方は“最大公約数”のビジネスを市場ターゲットから獲得する手法となります。
すなわち、市場内のターゲットが持つ共通課題を解決する自社サービスを提供します。

それに対し、ABMは”最大公倍数”のビジネスを1社の企業から獲得する手法
つまり、1社のニーズをすべて可視化し、それに応えるすべての自社サービスを提供します。

1社との大きなビジネスを目指すABMは、ターゲットの企業規模がおのずと大きくなります。

優良顧客の定義(パレートの法則)

パレートの法則をご存じでしょうか。
パレートの法則は、“ビジネスにおいて、売上の8割は全顧客の2割が生み出している”という法則です。
この法則を踏まえると、取引高の高い2割の顧客とのビジネスにフォーカスすれば、効率的に売上拡大ができるという結論が導かれます。

売上上位2割の顧客は、自社にとって優良顧客であることに間違いありません。
ただし、その優良顧客は現在市場に投入されているサービスの中で自社のサービスを選択しているに過ぎず、同品質で低価格のサービスが他社から市場投入されれば、乗り換える可能性もあります。
「取引先をそんなに簡単に変えないのでは?」そのように思われる方もいらっしゃると思います。果たしてそうでしょうか?

個客が逃げる理由のTOP1は”自分が企業に相手にされていない/大切にされていないと感じたから”が68%となっています。(ロックフェラー財団調査結果より)
取引実績やサービス品質だけでは顧客離れを防げません。

そこでABMです。
ABMの考え方は単なる優良顧客の拡大だけではなく、ロイヤルティ(信頼)が高い優良顧客の創出、すなわち購買行動においても心理的にも自社や自社製品に対し好意的な顧客:ロイヤルカスタマーを獲得することです。

ABMプロジェクト事例

ABMは、単なる取引先ではなく、自社に好意的なロイヤルカスタマーの獲得が目的です。具体的には次の2つに大別されます。

  1. 既存優良顧客のロイヤリティ向上
  2. 新規見込客のロイヤリティ向上

上記の違いは、ビジネス後に優良な関係構築を行うか、優良な関係構築後にビジネスを行うかの違いです。共通しているのは、心理的な良い経験によりロイヤリティが向上することです。
2を目的に新規コンタクト発掘テレマを実施した2つの事例をご紹介いたします。

事例① 基幹(グループ連結管理)システム

対象リスト数17件(社)
電話対応済9件(53%)
営業希望2件(12%)
要報告(追加資料請求)2件(12%)
    事例① 基幹(グループ連結管理)システム

事例② 調剤システム

対象リスト数12件(社)
電話対応済6件(50%)
営業希望3件(25%)
要報告(追加資料請求)1件(8.3%)
         事例② 調剤システム

前提:当社の新規コンタクト発掘テレマ結果の平均(2022-2023)値は 電話に対応頂いた件数割合 40-45% 営業希望割合は2-3%
コンタクト先は提案システム導入を主幹する部門の責任者・役員

ABMを目的としたプロジェクトでは、いかに”特別扱いをされているか。一所懸命に行動しているか”を感じて頂くことが肝要です。
そこに”長いお付き合いができそう。ビジネスパートナーとして信頼できそう”という印象を与えることができれば、今後のビジネスに向けたパイプライン構築ができたも同然です。

日本のABMといえばコレ!

相手に”特別扱いされている”と印象を持って頂くには・・?

それはモノを持って成し遂げる”おもてなし”の実践にほかならず、多くの日本人が理解しているものと考えています。
DM・情報提供・提案・イベント案内、ビジネスの効率化に伴い、その手段は各社で平準化されています。当社が事例でご紹介したプロジェクトでは、実際に連絡先となる方(役員・取締役・秘書)にどのようなアクションを受けた際に”特別感”を感じるか、事前に徹底的にヒアリングいたしました。

次のようなお客様に対し、皆様はどのように連絡されますか?

  • 定時出社は役員会議の日のみ。出社しても電話対応できるような時間はほとんどない
  • 出社すれば、机の脇に同じような封筒やDMの山。9割は見ずに破棄
  • 秘書も担当役員あてのメールや送付物に目は通すが、本人に直接対応を相談するのは数件が限度

今回のプロジェクトで使用した連絡手段は・・・”手紙”です。
日本には重要な文書に用いる大礼紙という上質な文書があります。これを用いるだけで日本人であれば重要な文書であることが想像できます。
あとは同封文書や宛名書き、署名の有無やその後の所作など、事前のヒアリングに従いできるだけご本人にお目通しいただけるような準備・実施をいたしました。

結果、クライアント様に”数年間、コンタクトできなかったお客様から初めて面会の機会を頂けた!”とその効果を実感頂いております。

お互い好意を持ってビジネスの話を始める。
そのような素敵なお膳立てが今後もできるよう事実に基づいた支援を行って参ります。ご興味がございましたらお気軽にお声がけください。

投稿者プロフィール

菊地晃
菊地晃デジタルマーケティング部 マネジャー
業務パッケージメーカーに在籍し、プロダクトマーケティングからルートセールス・ハイタッチセールスまで、 営業企画と営業活動の上流から下流まで幅広く経験。
その後、ERP系SI企業でダイレクトセールスを経験した後、I&Dにて業務系サービスを中心にプロジェクトを担当。 業種・業務にフォーカスした活動経験が豊富。
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