2022年テレマーケティング結果総ざらえ。~コール担当者が耳で感じた勝ちパターン~

2022年テレマーケティング結果総ざらえ。コール担当者が耳で感じた勝ちパターン-株式会社アイアンドディー テレマーケティング
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株式会社アイアンドディー、デマンドジェネレーション部 部長の小潟です。「デマンドジェネレーション部」という聞きなれない部署名ですが、お客様のリードジェネレーションを実行支援している部門でございます。具体的には、アウトバウンドコールセンターの運営を行っております。

本記事では、弊社が2022年に実施した「テレマーケティング結果」を定性的な観点から振り返り、記事にまとめさせていただきました。
前々回の記事 でご紹介したように、アイアンドディーは、IT企業様のアウトバウンド施策を代行している企業です。とりわけ、1) 大企業向けのアプローチが多い、2) 高役職者=製品選定のキーパーソンへアプローチをする機会が多いことが特徴です。

上記の見込み顧客に対してコールアプローチを検討している企業様の一助となれましたら幸いです。

2021年→2022年でコールがどのように変わったのか

アウトバウンドコールは様々ございますが、大別すると3種類になります。

  1. 企業しか分からない状態で特定部門のキーパーソンを発掘するCOLDコール
  2. セミナー等で獲得したマーケティングリードのBANT情報を見極めするフォローコール
  3. すでに何らかの過去コンタクトがあり、システムプロファイルやニーズ把握ができている対象を案件化するナーチャリング

COLDコール

株式会社アイアンドディー_コール結果プロセス2023

個人名のないCOLDコールは、キーパーソンへたどり着く前に代表・部署代表2つの壁があります。
その結果、非有効完了で終わる確率が、他の個人名があるコール種別よりも高い傾向にあります。

コロナ以前は、ターゲットに電話が繋がらない未コンタクトの割合がおよそ40%でした。
しかし、コロナ禍以降は、中堅以上の企業で在宅勤務率が上がったこと(「テレワーク」実施者の割合が昨年度よりさらに増加!~令和3年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~ 参照)などから、未コンタクト率が上昇。
COLDコールの結果は、およそ非有効終了(未コンタクト)55-60%、有効完了(コンタクト)40-45%に変化いたしました。

TELでのコミュニケーションを拒否された割合(代表拒否・部門拒否・本人拒否)は、およそ10-15%の間コロナ前後で変化はありません
大きく変わったのは、コールリストを3巡して未コンタクト終了で終わる割合と、コール後に架電対象外となるケースです。具体的には、ターゲットがずっと在宅ワークで電話番号の開示もされないケース(コール後架電対象外)、テレワークによってお電話のタイミングが合わず終了するケース(未コンタクト終了)が増えております。
上記の合わせ技により、3年前と比較してコンタクト率が10%超押し下がっております。※2021年と2022年では変化はありません。

未コンタクト理由2023|㈱アイアンドディー
とある情シス部門向けプロジェクトにおける未コンタクト終了の内訳

とりわけ情報システム部門においては、事前に直通TEL番号を手配するなどの工夫がないとコンタクト率が低迷する傾向にあったようです。

現場の肌感覚では、在宅勤務率が直近で増えているようなコメントが目に付くようになりました。
コロナ直後からしばらくは、あまりコンタクト率に変化がありませんでした。おそらく、コロナ直後の1年程はインフラ面などで様々な変化がありましたからその対応で…ということもあったのだと思います。
今後の情シス向けプロジェクトはあらかじめ先述の直通TEL番号を事前手配したり、CRM・MAの部署名・直通TELを活用する必要がありそうです。

製造業の地方拠点などへ重点的にアプローチするCOLDコールでは、コンタクト率が60%を越えるプロジェクトも複数ありました。これは、在宅勤務率の低さに起因するもので、行動様式が依然として変わっていないということなのだと思います。

今後出勤率が上がるであろう2023年は、行動様式もコロナ仕様から再び変化し、地方拠点および中堅以下の企業ではテレマーケティングのコンタクト率が徐々に回復するものと推測されます。
しかしながら、コロナ禍において「代表電話から一定の条件がない限りは電話をつながない」とルールを固定化した企業様については、おそらく今後もコンタクト率が回復することはないと想定されます。
2023年については、時流に適応したCOLDコールを開発・実施してまいります。

フォローコール

2022年のフォローコールは、お電話にてコンタクトできれば好結果につながった様です。詳しい確率は、前記事 をご参照ください。

お電話でコンタクト出来れば結果は出るものの、有効完了(コンタクト)率は、多くのプロジェクトにおいて45-50%の間で推移しました。ほぼ昨年と同等の水準です。コロナ前は65%前後で推移していたことを思い起こすと、昨年は思ったよりも回復しませんでした。

イベントフォロー系の未コンタクト者については、次回ナーチャリング対象としてアプローチ時期を変えることによって、ほぼ同率のアポイントが創出される傾向にあります。

不思議なもので、イベント直後に実施したコールプロジェクトのアポイント率と、後日未コンタクトだった方へフォローコールを行って創出されるアポイント率は、大半のプロジェクトでさほど変わらないのです(コンタクト率は、後者が著しく劣る)。
イベント後のフォローコールで未コンタクトに終わった対象は、ナーチャリングリストに回すことをご検討いただくのが良いかもしれません。

ナーチャリング

セミナー同様にコンタクト率が課題でした。

ただし、ナーチャリング実施をしなかった結果、「他製品を導入してしまった」という様なチャンスロス事例相当数見かけました
チャンスロス事例を回避するためには、即効性は求め過ぎずに「定点観測は必要」と割り切って複数回コールプロジェクトを実施するか、違った切り口でコールアプローチするなどの工夫が必要です。

2022年成功したコールプロジェクト例

2022年、成功したプロジェクトも数多くございました。

コンタクト率が60%台またはアポイント率が7%以上を成功とするならば、左記の条件を満たしたプロジェクトで見られた再現性のありそうな成功の法則は、以下の3点となります。

  • 紙DM施策とコールを合わせ技で実行したプロジェクト
  • Webinarフックでのコンタクト発掘、およびその後のフォロー
  • 地方拠点へのアプローチ

紙DM施策とコールを組み合わせたプロジェクト

まず、紙DMとの合わせ技について。

コールに加えて、とりわけ前工程で、導入事例や訴求ポイントを明確に記した紙DM施策を実施しているプロジェクトとなります。
とくに、役員クラスなど高役職者向けのCOLDコールで有効な施策となりました。

具体事例が掲載できないため、イメージ図となります…

たとえば、セミナーのご案内を封書などでお送りする様なプロジェクトです。

「セミナー登壇者」と「セミナー内容」を紙媒体で送付することによって、自然と「ショーケース+論点整理」が行われているため、フォローコールの段階で話が深堀りできることが好結果につながりました。

DMあり・なしそれぞれ一定期間実施したコールプロジェクトの結果を比較いたしますと、同ターゲットに対してDMなし:アポ率平均2.6%、DMあり:アポ率7.2%という結果に終わっています。
キーパーソンとお話しできたコンタクト率はさほど変化が見られませんので、DMによって呼び水を差したことが好結果につながったキーファクターであると言えるのではないでしょうか。

なぜDMが良いのか?という点ですが、単にセミナー内容をお送りしたというのではなく、ショーケース+論点整理がなされていることが重要なポイントだと拝察します。

よって、DMコンテンツは「セミナー案内」に限らず、「事例+製品紹介」「アンケート依頼+過去のアンケート結果例」…と様々に応用することができます。あくまでコール施策+αの紙DM施策となりますので、お電話先のお客様に対して会話の呼び水を差す目的に適っていることが重要です。

コール担当者からは、「●●の講演をやっている▲▲社と同じ業態だけれど、□□というテーマは我が社も取り組むべきテーマなのでぜひ事例を交えて教えて欲しい。弊社の課題は…」のように、DMと呼び水を差しただけで先方が怒涛のように語り始めた事例など、様々な話を聞いております。
怒涛のように語り始めるのは特殊なケースかもしれませんが、興味範囲を特定するためには持ってこいの施策であると言えましょう。

また、アポイント率が底上げされた要因の1つには、たとえ当人へ電話がつながらなかったとしてもEA/秘書経由でリアクションが返ってくる点が挙げられると思います。
紙DM上で「メール返信して欲しい」「当人でなくとも対応できる人をご紹介して欲しい」というオファーを明記することによって、アポイント了承などの次アクションが返ってくるという理屈です。

その他の成功施策

Webinarフックのコンタクト発掘~資料送付フォローを愚直に実施したプロジェクトでも押しなべて良い結果で終わることができました。
こちらは、弊社実施ウェビナー「コロナ禍で成功するBtoBマーケティング手法 Vol.2」 「コロナ禍で成功するBtoBマーケティング手法 Vol.3」 で詳しくご紹介しておりますので、ご参照いただけますと幸いです。

先ほどご案内したように、地方拠点にアプローチするコールプロジェクト結果は、東名阪以外ではコンタクト率がおおむね60%前後で推移しました。地域ごとの年間結果は、以下の図の通りです。

2022年成果が出なかったプロジェクト例

逆に、残念ながら成果が出なかったプロジェクトについて。
全プロジェクトを振り返ってみますと、こちらも概ね傾向が決まっているようです。成功よりも失敗の方が再現性が高く、必然に近いので、以下の内容は「これは避けたほうがよいという定理」になるのではないでしょうか。

ずっと同じネタを繰り返すナーチャリングプロジェクトは、失敗する

まず、ナーチャリングプロジェクトを実施する際、単に同じネタで定点観測を繰り返すケースです。

具体的なナーチャリングプロジェクト結果から見てみると、初回:アポ7.5% → 2回目:アポ4.3% → 3回目:アポ2.6% の様に漸減しております。これは「最後まで刈り取る」という観点で考えた場合には正解だと思いますが、1施策あたりの投資コスト対効果で考えますと著しく数値が落ち込みます。

やはり、ナーチャリングは二の矢、三の矢がないと成果にはつながりにくいのです。
コールを実施する担当者レベルの目線で申し上げると、通り一遍・毎回同じでは「ネタがない」「会話が苦しい」ということになりますし、BPOする立場では臨機応変勝手に切り口を変える訳にもいかないのでコール担当者のスキルがあったとしても結果が上向くことはないということになります。
まずは、訴求する製品サービスを変えるのがオーソドックスな対応となります。

次に、時流に即した訴求に改めるなど、商材・リストを変えずに伝え方・コールスクリプトを変えるだけでも結果は変わってまいります。事例コンテンツやアンケート結果、イベント案内…など、コールを支えるコンテンツについて切り口を変えると、さらに結果が上向きます。

何も変えるものがない…という場合は、最終手段で、4月異動時期/期首に人や組織が変わるのを待つという作戦もございます。お客様のご状況が変わるのを待つということです。電話にご対応いただけなかった方も、時期を変えるとアポイント・資料送付になったりするものです。
これはこれで立派な作戦ですが、ずっとお客様が変わるのを待っているだけでは冒頭のとおり成果が漸減してまいりますので、他の作戦を組み合わせるようご検討ください。

話題を詰め込み過ぎるCOLDコールは、失敗する

次に、主にコールドコールになると思いますが、1本のプロジェクトに話題を盛り込み過ぎると概ね結果が出ない傾向でした。

具体的には、設問項目を盛り込みすぎることでコール担当者が何にフォーカスして聞いたら良いのか途中で迷子になるのですね。どんなに長い電話でも20分ほどが限界ですから、1本のお電話でうかがえる聴取量は限定されます。

プロジェクトは、シンプルに設計したほうが成果は出るもので、これは定理だと言えます。

たとえば、シンプルなBANT聴取を目的としたコールを実施した場合。
製品について「検討していない」という回答を得た場合でも、じつは声色によって2通り答えがあります。本当に検討していないケースと、過去に検討していたが何かの理由で検討しなくなったケースです。
私もそうでしたが、長年コールを経験している担当者は、検討していないの声色でピンとくるものなのです。

ピンときた対象に「なぜ検討していないのですか?」と投げかけると、過去に検討しなくなった理由・背景をたいていは話してくれます。それに対してさらになぜですか?とWhyを投げかけることによって新たな提案材料を見つけ出すことができます。
結果、他サービスの訴求対象にもなりえますし、中長期でのナーチャリング対象にもなりえます

投資計画の有無を確認するだけでも様々な情報は得られるものですから、欲張って様々なことを詰め込んでしまうよりは、プロジェクトをシンプルにして「なんで?なんで?」と深堀りしていく方が、最終的に結果は出るのです。

拒否企業のリサイクルは、成果が出ない

最後に、「過去拒否企業をリサイクル」するプロジェクトは、成果が出ない傾向にあります。

部署直通TEL番号をあらかじめ手配するなど代表を回避する様な情報付与であったり、コールでの切り口を変えてみても結果は変わりません。ダメなものはダメということですね。
ターゲットが限定されたABMですと、拒否傾向にある企業にも再度のアプローチが必要になってまいりますが、過去名刺での接点やターゲットを見直すなど工夫が必要なのだと思います。

どうしてもターゲットが限定されて…という場合には、Web検索エンジンで特定のキーワードを検索した企業群を特定することによって、ニーズからアウトバウンドリストを作り出す作戦もございます。
下記の記事をご参照いただけますと幸いです。

おわりに

定性的な2022年のテレマーケティング結果、いかがでしたでしょうか。
上記の内容について、うまくいった施策/大失敗した施策の振り返りウェビナー を2023年2月28日(火)に実施いたします。
申込参加無料となりますので、ふるってお申込みいただけますと幸甚です。

以上です。

投稿者プロフィール

小潟亘
小潟亘デマンドジェネレーション部 部長
20代前半にオペレーターとしてテレマーケティングの世界へ飛び込み、
BtoB、BtoCのアウトバウンドとインバウンドをもれなく経験。
以降はSVとして現場管理に従事。得意分野はBtoBアウトバウンド。
オペレーター時代の自己最高記録は、1時間100件コール(他社在籍時)、
1日17アポイント獲得。
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