2022年3月2日に開催したWebセミナーでは「コロナ禍で成功する BtoB マーケティング手法 Vol.3 ABM攻略セミナー」と称して、狙った企業のキーパーソンに直接アプローチするターゲットリスト作成方法についてお伝えしました。
セミナーの模様を、アーカイブ動画と書き起こしでご紹介いたします。
▼チャプター
1.ABMで必要となる要素
2.アカウントの選択
3.部署・役職の特定
4.ダイレクトアプローチを実現するためには
5.まとめ
狙った企業のキーパーソンに直接アプローチするターゲットリスト作成
今回のセミナーでは、ABMーー指定されたアカウントに対して製品選定に関わるキーパーソンを発掘し、その人に対してアポイントを取り付けるーーそういう一連の流れのうち、「どの企業の、誰にアプローチするか」というリスト作成の部分、そこにフォーカスしてお伝えします。
【話者】
株式会社アイアンドディー デジタルマーケティング部 部長 升水 雄介
同コンタクトセンター 部長 小潟 亘
同コンタクトセンター 大野 浩二
ABMで必要となる要素
1)企業情報編
升水
ABM実行に当たっては企業の選定をする必要があります。その選定をするためにまず必要となるのが正式な会社名。
社名って、まあ一言で言っても「アイアンドディー」なのか「I&D」なのかとか、色々あるじゃないですか、小文字大文字の違いとか。グループ内でもいろいろあるし。そこのところ正確でないとデータベースとして意味をなさない。
で、次に業種。これも正確に、日本標準産業分類などに基づいたものをね、知っておく必要があります。あと売上高と従業員数、これは正確な数字というよりも区分ですね。これがあると、企業を絞りこむときにめっちゃ有利。
一番最後に法人ナンバー。数字がユニークなので、これをもとに情報を当ててことができるからできれば取っといて欲しい。
2)キーパーソン情報編
小潟
キーパーソン情報としては正式な姓名ですね。テレマの段階では、正確な漢字表記は必要なくとも、その後DM送付、メール送付となった段階で、ないと失礼に当たります。「オガタ様」、「緒方様」といった表記でDMが来たら、僕なら見ないで即捨てます。
ABMでトップを攻めていこうというとき、これから関係構築しようという時に間違えちゃいけないですよね。
他に必要となるのが所属部門(組織図情報)、役職、在籍している拠点および拠点所在地。
あと今回はちょっと関係ないけどコンタクトを発掘してアポイント取ろうかっていう時にはやっぱり情報提供許諾。アプローチ情報を個人に紐づけた履歴として残しておくことも大事。
直通番号や携帯電話番号、エグゼクティブなら秘書の有無、部内の役割/権限 、担当領域なんかもナーチャリングをする上で個人につけておくと良い情報ですね。
アカウントの選択
1)シェアマップ
じゃあ企業選定の下準備ができたぞ、というところで、次。どう絞り込みをかけていくかということなんですが、伝統的な手法と今どきな手法と2つございまして、まず伝統芸の方で言いますと、シェアマップの作成。占有率のマッピングですね。
【 シェアマップ作製方法 】
1.自社製品のターゲットを「売上」×「業種」で分類分け
2.分子となる自社データの整形
3.分母 (対象) となる企業データの抽出
分子と分母をプロットしていくと、例えば対象企業が日本全国に15社しかなくて、3社は既にアプローチ済という場合、残り12社しかないのなら、テレマで攻めるしかないなとか。
逆に259社とかあったりするようだったら、全部にアプローチするならDMを出そうかな、とか。施策の方向性がこれで決定できます。
2)DMP
シェアマップはアカウントの規模・業種からターゲットを絞り込む方法。DMPは逆に、ニーズの有る企業群を抽出する方法ですね。
「Web セミナー集客」とかそういう特定のキーワードを調べている企業が分かる。
取得情報としては、会社名、代表番号とか住所、絞り込み条件で言うと、売上規模・業種ですね。
特定のキーワードを調べてるということは何て言うか、火のないところに煙は…じゃないんですけど、調べてるって事は何か課題がある。
弊社でやらせていただく案件でも、この DMP でリスト作成→コンタクト発掘→3か月後にナーチャリングし、最終的にアポイントを獲得したらお客様にご報告と、そういう流れの案件は非常に増えました。
コロナ禍だと、そもそも会社に人がいないという状況がある中で、会社のIP アドレスで「誰か調べてる」っていう点で、誰か会社にはいる、ということが分かる。そういう意味でもすごく使える抽出方法ですね。
部署・役職の特定
1)Webクリッピング
個人のほうでは、どこの部署攻めようかなっていう時には、伝統的な手法ではこのクリッピングっていうやり方があるんですよね。
ウェブサイトをクローリングクリッピングする。企業の組織図のマッピングです。
あと、ニュースリリース、そこからの役職情報拾ってきて、先ほどの企業組織図に追加する。
誰が偉い人で、この偉い人は実は2年前と変わってるとか、そういう情報をまとめることができる 。
2)公人データ購入
まとめて取れる方法としては公人データ購入、高役職者のリスト、これはまとめて購入できる。
公人って、別に役所に勤めてるとかそういう意味じゃないんだけど、公開されている情報については購入できますよと。
だからシェアマップとかで分母がめちゃめちゃ多くて、全然攻められないよとかいう場合とかだと、こういうデータを買って、紙DMとかまとめて送付するとか。
3)ターゲティング広告
最後に、個人にフォーカスするイメージですけど Webターゲティング広告ですね。
特定の興味関心事とか、その人の属性に基づいて広告を出すことができる。
自分の場合だと40代中年ということで「家買いませんか」とかそういう広告が出る。
私はプロ野球関連が表示されますね。
趣味嗜好に基づいてね。そこから先はクッキー情報を取った上で個別に攻撃をするわけです。
アカウントとリードの情報を組み合わせたような、その特定の企業の、どこの部分にいる人だけに直接攻撃をするとか、そういうデータのとり方ができます。
ダイレクトアプローチを実現するためには
正確な部署・役職・個人名
キーパーソンに電話アプローチしようとすると、おおむね3つの壁があります。代表窓口、部門窓口、秘書。これを超えるにはどうしたら良いか…実演していただきましょう。
【パターン1 部長ターゲット】
「代々木上原システムでございます」
「お世話になります株式会社アイアンドディーの大野でございます」
「お世話になります」
「恐れ入りますがクラウド推進事業部長の小潟さまをお願いいたします」
「はい少々お待ちいただけますでしょうか」
…という感じで、ものすごくシンプルなんですけども 今のポイントとしては、部署名・役職名・姓名がしっかりわかっていたので、この企業の対応窓口の方も「だったら繋ごう」という感じで取り次がれるケースですね。
【パターン2 Executiveターゲット】
「恐れ入りますが執行役員クラウド推進事業部長の小潟さまにお取次ぎをお願いいたします」
「はい少々お待ちいただけますでしょうか」
~電話転送~
「恐れ入りますが、執行役員クラウド推進事業部長の小潟さまはお手すきでいらっしゃいますでしょうか」
「はい、わたくし小潟の担当秘書の田中と申します。恐れ入りますが、ご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「今回ですね、クラウド推進事業部長の小潟さま宛てに、有益な情報提供を差し上げたく、お電話いたしました。直接、お取次ぎいただくことは可能でしょうか?」
役員の人につないでほしいと、正確な部署名、役職名で明確に伝えているので、じゃあこの方の秘書だったらこの人だなって、窓口の方も迷うことなく繋いでくれる、そういったパターンですね。
【パターン3 何も情報がない場合】
「恐れ入りますが営業部門の方にお取次ぎをお願いいたします」
「営業ですか…うちも事業によって営業部門が異なるものですから。どちらの部門となりますでしょうか?」
「クラウドのソリューションを扱っている部門の方をお願いいたします」
「正確な部署の名前はお分かりになりますか?」
「今回初めて私の方からお電話差し上げているものですから…」
「担当の名前はお分かりになりますか?」
「お名前も存じ上げておりません」
「ご用件をお伺いしてもよろしいですか?…いわゆる営業電話ですよね?」
はい撃沈、と。
正確な姓名
正確な部門名・部署名
正確な役職名
逆にこれがないと、受付の方とかが、繋げなきゃいけない理由とか、アイアンドディーってどんな会社なの?っていう説明とか、そういうものが必要になってきちゃう訳だね。
直通番号
諸事項の確認が長ければ長いほど、営業電話色は強まります。
コロナ禍においては特に、受付自体がなくなっていたり、慣れない部署の方が輪番制で受電している場合もあるので、正確な部署名・役職名・姓名が分かっていないと一発でアウトです。
あと、そもそもダイレクトに繋がる直通番号が把握できていれば、壁の突破の必要性もなくなるので、直通番号は重要ですね。
まとめ
次回は「コロナ禍で成功する BtoB マーケティング手法 Vol.4 ABM攻略セミナー~テレマアプローチ編~」として、作成したターゲットリストに対して、テレマで具体的にどのようなアプローチを実行するかについてお伝えします。
▼「コロナ禍で成功するBtoBマーケティング手法」アーカイブ動画
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