こんにちは。アイアンドディーのマーケティング部 升水です。
MAツールを使った販促実行シナリオについて集中連載をする第3回。(過去連載は、コチラから)
Webセミナー/ウェビナーをマーケティング活動・営業活動の中にいかに組み入れていくのか?有効な手法とはなにか?について、中小企業様の事例をもとにご案内をさせていただきます。貴社における有効な「Webセミナー活用法」について、ご参考になれましたら幸いです。
「Webセミナーをまだ活用したことがない」という中小企業の方も多いと思いますので、まず本稿ではWebセミナーの利点や活用シーン・ゴール設計について情報提供をさせていただこうと思います。
Webセミナーの利点整理。
Webセミナーの特徴って、何でしょうか?
コロナ禍で対面による活動が制限される今、Webセミナー・ウェビナーは様々な用途で活用されています。
ことBtoBマーケティングにおいては、従来型セミナーの延長線上ではなく様々なアプローチがなされております。Webセミナーの特徴をまとめると、以下5点に集約されます。
1.伝えたいメッセージを、動画でプレゼンテーションするコンテンツである。
2.ライブ(生放送)、疑似ライブ(録画放送)、アーカイブなど配信方法は様々。
3.アンケート、質疑応答、別コンテンツ提示など、複数コンテンツの組み合わせ可能。
4.全国ネットが繋がっていればいつでもどこでもと、物理的な制約が極小に抑えられる。
5.デジタルであるため、あらゆる指標を取得・可視化できる。
Webセミナーと従来セミナーとは、別物と考えたほうが良いでしょう。
一例を挙げてみます。
一昔前、セミナーで回収したアンケートから読み取れる情報は限定的でした。
アンケートを見て、「ものすごく良さそうな内容である!即フォローである!」と思っていても、実際には、半日で家に帰れるから当該セミナーに参加しており、まったく内容に興味ないけれど途中離席も気が悪いので全参加し、ほぼセミナー中居眠りしていたかもしれず…それはアンケートについたヨダレでしか判別できない…みたいなことが起こっていたのかもしれません。ぱっと見には分からなかったですよね。(寝てるヒト多いな、今日ノリ悪いな、という記憶ベース)
Webセミナーでは、よくも悪くも聴講時間やページ内遷移が可視化されてしまいます。
匿名でアンケート・チャットなどを受け付けますと「盛り上がったタイミング」「盛り上がり度」も記録に残るのです。
さすがに画面前で寝ているスクショまでは残らないわけですが…、取得できる情報量においては、飛躍的に進化しています。紙DMからコンテンツメールに変わった時と同様、またはそれ以上のインパクトがあると言えるでしょう。また、会場と時間、提供方法になんらの制約もなく、約束事だらけであった従来セミナーとは比較にならないほど、使い勝手がよいコンテンツとなります。
制約が少なく参加ハードルが低いという点、獲得できる情報量が多いという意味において留意すべきは、見込顧客管理ツール(MAツール)の活用です。
セミナー参加者や申込者数を従来よりも多く獲得でき、そこで取得できる情報量も多く、また複数のプロセスにまたがるため、無計画にWebセミナーを実行致しますと情報オーバーロード(情報洪水)が起きがちです。
いろんなツールを組み合わせたり、オンラインミーティングツールを活用することで意外と簡単に開催自体はできてしまうWebセミナーではございますが、シンプルな設計であったり同一ツール内で実行するようにしないと、後々痛い目を見ます…。
せっかく様々な情報を取得しているのにも関わらず、分散しているがゆえに活かせていない。または統合するのに日が暮れるという死屍累々がマーケ現場では散見されるのです。
獲得した情報を、今にまたは次に活用できるインフラを整備しなければ、開催して満足で終わってしまいます。少なくとも、情報を1カ所に集約できる見込顧客管理ツール(MAツール)を活用するのが大前提であると言えます。
(弊社MAツール”Dr.Seminar”で自社セミナーを運用した奮闘記はコチラから)
どんな場面で活用するのが良いのでしょうか?
では、Webセミナーはどんな活用シーンが想定されるのでしょうか?
究極的にはWebコンテンツとなりますので、BtoBマーケティングにおいては従来型セミナーの意味合いにプラスして様々な利用シーンが想定されます。
まず、製品サービスの見込顧客を獲得する「新規の見込顧客の開拓策」が考えられます。
時限付きホワイトペーパーの様なもの(時限すらないかもしれない)ですから、製品サービスの対象顧客が幅広い場合はインバウンドコンテンツの一種として考えます。また、アプローチ対象を限定するアウトバウンド施策の一助として活用する手法も有効です。
具体的な開催手法ごとに、以下列記します。
相乗り型(大型イベント出展・イベントサイト)でのリード獲得
・原則、主催者が視聴者を手配=集客してくれる。概ね、見込顧客数は集まりやすい。
・ただし、ターゲット外である可能性もあるため、自社製品サービスの見込顧客が集まるイベント・媒体かどうかの見極めが重要となる。
・ライブでセミナー、または事前に収録した動画を提供するなど、イベントごとにフォーマットが決まっている。
・フレームに乗っかるだけなので、運営はきわめて楽ちん。
・後フォローはインサイドセールスの手順を決めるなど体系的に行う必要あり。また、参加者の個人情報が古く後フォロー不能である場合もあるので、留意が必要。
イベント共催型(複数社での共催・主催企業との相乗り)でのリード獲得
・共催相手と、視聴者をシェア。1社単独開催よりも、見込顧客数は集まりやすい。
・ただし、複数社で参加者情報を共有する旨/許諾を取り付ける必要がある。
・複数社で統一手法にしないければならないため、奇抜な手法は採用されない。ベタな手法で実行することが多い。
・他社商材とのクロスセルや他社既存顧客へのセールスが行えるなど、様々なアプローチが行える。他社との絡みで制約もあるが、アドバンテージも大きい。
単独開催型でのリード獲得
・自力で視聴者を獲得する必要がある。
・獲得手法は、視聴者制限がしにくいWeb系広告(リスティング広告、ディスプレイ広告など)、ターゲットを特定セグメントに絞り込める媒体広告(業界特化型の媒体へ広告出稿、ターゲティング広告など)、ターゲットを完全に絞り込んだアウトバウンドアプローチ(テレマーケティング、紙DMなど)がある。それぞれメリット・デメリットあり。
・自社ですべての実行手法を決定できるため、自由度が高い。本当になんでも出来てしまうので、施策のGOALをきちんと設計することが肝要。
次に、過去の見込顧客との接点を再構築する「ナーチャリング施策」として、Webセミナーを活用するのも良いと思います。
自社で抱えるハウスリストに対して、属性条件に合致したWebセミナーをご案内。新たなコンタクトポイントとする手法です。一昔前ですと、会場で「お久しぶりですねー!最近どうですか?」という会話とともに次回商談のタネを探っていた、アレです。今時ですと、メール施策・インサイドセールスのネタとして活用するイメージでしょうか。
単独開催型はもちろんのこと、他社と共催する場合にもきわめて有効な手法であると言えます。新たな切り口で接点を持てることに加えて、後々のフォローも別の切り口で行えるためです。
既存顧客への「クロスセル施策」「エンゲージメント向上策」として活用するのも有効です。
この場合、Webセミナーとして講師 対 顔が隠れた複数の受講者 としてセミナー開催するのではなく、可能であればWebミーティングの様な形式でセミナーを行えると効果的です。
いずれの施策を実行するにしても、MAツール等で誰がどのプロジェクト(Webセミナー)にご参加/申し込みいただいたのか、本プロジェクトの目的は何か、Webセミナー申し込み経路はなんだったのか、付随したアンケートや質問は何を書いていたのかを明確にする必要がございます。これらの情報が一元管理できていますと、次アクションに結びつけやすくなります。また、プロジェクト投下予算もMAツールで同時に管理しておきますと、施策の成果が一目瞭然となり、狙いとのGAPが簡単に分析できます。
GOAL設計はどうするのか?
最後に、GOAL設計です。
GOALをどこに定めるのかに応じて、Webセミナーの建付けを企画致します。
Webセミナーは動画版ホワイトペーパーの様なものであるとも言えますので、他コンテンツ・具体的なサービスへ誘導するための一手と考えることもできます。
その場合は、セミナー本体の動画に加えて、その他サービスを併記できるWebセミナーに仕立てる必要があります。具体的には、LP(ランディングページ)の様な見せ方をして、セミナー本体+αへの誘導口を用意します。コンテンツへの転換率をKPIの1つに据えるのがよいと思います。
セミナーフォローを円滑に行うためにも、誘導したいコンテンツへの興味度などを測るようなアンケートであったり、インサイドセールスのコールスクリプト(コール台本)を事前準備しなければなりません。
アウトバウンドアプローチにて、新規キーマン発掘をおこなうためのネタとして活用してしまう方法も考えられます。Webセミナーの手軽に参加できるという特性上、個人名やメールアドレス・情報提供許諾を取り付けやすいためです。Webセミナー参加打診を行うことによって、当日参加ムリ→ではアポイントで説明というような営業許諾取得にも活用しやすいと言えます。キーマン発掘を行うことが目的ですから、直近で何かご導入いただければラッキーですけれども、どちらかというとBANT情報や業務/経営課題の聴取に注力すべきであり、中長期での案件化を狙うという意味でインサイドセールスの技量が試される設計となります。
Webセミナーの王道は、参加者にアンケートを促したりフォローコールを実行してBANT情報を固め、テーマに即した最適な情報提供を最適なタイミングで行う(結果、案件化に繋がる)。不参加者に対しては、アーカイブ動画を活用したフォローメールで興味度を推し量ったり、アーカイブ動画の送信や営業訪問許諾を取り付けるフォローコールを実行して次アクションを促すことになります。
来場者における案件化率/額を指標にする必要がありますので、お使いの営業支援ツール(SFA)と連携を行うか、MAツール上で簡単な案件化管理を行えるようにしておきます。「案件化」はKGIであり、おおむね中長期レンジで見るべき指標となりますので、そのプロセスである営業商談数やナーチャリング対象者数、横展開によるキーマン発掘数などを指標に据えると良いのではないでしょうか。
次回は、Webセミナーを使って新たな営業やマーケティング手法に取り組んだ中小企業様の事例を中心にレポートしたいと思います。
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